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手揉み茶体験


「摘んだら、蒸れんように紙に広げておくまっし。家帰ったら、蒸して発酵をとめてから、ホットプレートの温度に気をつけて手で揉むんやぞ。火傷に気つけんなんぞ」

打越製茶組合の吉田さんと、小林屋茶舗の小林さんが、たくさん摘み取った新芽(ほとんど茶摘み名人の友人に分けてもらいました)を見て教えてくれました。

さて、初めての手揉み体験! 言われた通り、家に帰ったらすぐに茶を広げ、手揉みの準備をしました。家にホットプレートがなくて、フライパンだと火傷が怖い...という事で、炊飯器を使う事にしました。

静岡で手揉み名人のテクニックをしっかり見ていたので、私は密かに、自信がありました。普通の人より、上手にお茶が作れるはず!

茶を蒸して発酵をとめ、青くしんなりなった新芽。いい感じです。それを保温にセットした炊飯器に入れて、手揉み名人の手つきを思い出しながら揉み始めました。なかなか変化がないので、炊飯器のフタを閉めて休憩。また手揉み再開。休憩、再開、、、

全然緑茶にならない。全然茶葉が集まってくれない。イメージ通りに全くならない...

何時間か繰り返しているうちに、緑茶の姿ではない、ちょっと中国茶のような様子になりました。

とりあえず、また紙に広げて一晩おく事にして、ぐったり疲れて寝ました。手揉みって大変だ...

翌日、朝一番に淹れてみると、摘んだ時の茶葉の香りがほのかにする、中国茶っぽいお茶になりました。生まれて初めて自分で作ったお茶。すごく美味しかったです。緑茶ではありませんが、本当に美味しいと思いました。

後に、友達何人かにも飲んでもらいましたが、味が薄く、そんな美味しいお茶ではないようですが、私にとっては特別なお茶。多分、手揉みの大変さとか、炊飯器の中で変わっていく様子を見て不安になったこととか、そういう体験も含めて、茶を我が子のように思ったのだと思います。

そう、そうです。

私たちに美味しいお茶を届けるために、茶を育ててくださる農家の方々、高い技術力で製茶してくださる方々、味を見極めて整え、淹れ方も教えてくださるお茶屋さんは、いつもお茶を我が子のように大切に思っているのだということが、今回の手摘みと手揉みの体験で、少し感じることができました。

後に、京都の老舗お茶屋さんにこのお話をしたら、「素人が美味しい緑茶を作ろうなんて! そんな簡単なもんじゃないですよ。我々プロが一生懸命茶と向き合って、それでも大変なんだから」と。全くその通りです。

それでも、初めて自分で作ったお茶は、やっぱり特別。もったいなくて全部飲みきれていません。

あと一、二回分くらい残してある中国茶っぽい、私のお茶。さて、誰とどんな風に楽しみましょうか。

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