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茶と呼吸のワーク


先日、加賀市のイベントに『茶図』として参加した際、加賀の紅茶[ヤブキタ]・加賀の紅茶[オクヒカリ]・加賀の紅茶[ヤブキタとオクヒカリのブレンド]の3種をご用意しました。

「この3種、どう違うの?」

当然、お客様から、このご質問をたくさんいただきました。ヤブキタ、オクヒカリというのは、品種の名前です。イベントではこうお答えしていました。

「ヤブキタは力強く滋養に満ちた感じ、オクヒカリは繊細で優しい感じ、ブレンドはその二つのバランスが良い紅茶です」

これは一般的な茶の文献を調べてお答えした情報ですし、私自身もそう感じます。しかし、飲む人の体調やお好みの淹れ方によって、この印象は様々に変わると思うのです。

そこで、ある実験を試みました。加賀市の茶産地再興プロジェクトを設計したNextCommonsLab(ネクストコモンズラボ)の、加賀メンバーに協力を得て開催した「茶と呼吸のワーク」です。

紅茶の試飲比較をしてもらうのですが、その前に、みんなの五感を繊細に整えるため、まずは8人の参加者へ、いくつかの呼吸法をインストラクションしました。環境も大事なので、スマホやPCの使用を断絶し、電気を消し、人の出入りを極力禁じて、できる限り静かな空間を作りました。そこに安定して座り、目を閉じてもらいます。

自然呼吸、腹式呼吸、片鼻呼吸と順にインストラクションし、途中、目を閉じたままのストレッチもはさんで参加者は自己の心身へ意識を向けていきます。体が伸び、呼吸が深くなると、副交感神経にスイッチが切り替わり、リラックスして五感が繊細になると言われています。

その状態で、次の3つの加賀の紅茶を試飲してもらいました。全て水出し紅茶。同じ状況下で淹れたものです。

1、2017年のヤブキタ・セカンド(品種比較)

2、2017年のオクヒカリ・セカンド(品種比較)

3、2016年のヤブキタ・セカンド(ヴィンテージとしての可能性)

3種飲み比べた後、自分がどう感じたか、白い紙に自由に表現してもらいました。文字でも絵でも良いし、箇条書きでも文章でも自由であることを告げて。さて、みんな、どのような感覚を得たでしょう。この結果は、今後の茶図のお茶を提案する中で、ご紹介していこうと思います。

(少しだけご紹介すると、ワーク途中で人気投票を行ったら、1番人気は2017年のヤブキタ、次に2017年のオクヒカリ、3位は2016年のヤブキタでしたよ)

ワークを準備する上で、自分でも色々な淹れ方で3種を試飲しましたが、都度印象が違いました。ひとくち目と、ふたくち目が違って感じたりもしました。

味覚の優れた方や、茶のプロの方、茶師の方達は、しっかりとそれぞれの違いが分かり、私のように感覚の揺れがないだろうと思います。

けれども、人は様々に揺れる生き物だと思うのです。どこで飲むか、誰と飲むか、何と合わせて飲むか、どんな気分で、どんな体調で、茶と向き合うのか。それを飲む側が知っていたら、「喫茶」という行為が深まったり、茶をもっと楽しむことができるのではないかと、今の私は感じています。

『茶図』は、打越製茶組合さんが丹精込めて作る加賀の紅茶を出発点として、茶を飲む側の心身に寄り添うようなお茶を提案していきたいと思っています。「茶は養生の仙薬なり」という一節に力を得て、NextCommonsLab加賀の仲間やお客様と一緒に、新しい茶文化が創造できたらいいなというのが、私のささやかな願いです。


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