東京・渋谷にある「幻幻庵 GENGENAN」のことは、聞き知っていました。
お茶の仕事をすることになってすぐに、何人もの友人に、一度行ってみろと勧められていたからです。
茶の特集雑誌にも、必ずと言っていいほど、紹介されています。
それほどまでに注目される、GENGENANの魅力は何なのかな？ そう思っているうちに、金沢のKUMUで「美味しいお茶の淹れ方ワークショップ」を開催されるという情報が！
ということで、かなり期待値を上げて参加しました。
講師は、幻幻庵プロデューサー丸若氏です。
５種類のお茶を、５種類の淹れ方で楽しむという内容です。
［佐賀県 玉緑茶 奥豊］
一煎目：ガツンと濃く淹れて、茶の個性をしっかり味わう。 二煎目：湯量も標準で、茶の親しみやすさを味わう。
minimalのチョコレートをお茶請けに、茶とのマリアージュを楽しみました。
料理人の参加者さんが、とても感動されていて、繊細な舌で味覚の調和や驚き・変化を堪能していました。
［佐賀県 釜炒り茶］
釜で茶を炒る製法は、古来より受け継がれているものですが、蒸す製茶法が一般的なため、大変希少なお茶だそうです。
温度が350度に達する釜に躊躇なく手を入れる茶師の姿が、ちょっと衝撃ですよと、お話くださいました。
お茶の色は、ほんの少し赤みに傾く柔らかな黄色。私個人の感じ方ですが、香りが澄んでいて中国茶を思い出しました。
味はとっても懐かしい感じがして、わずかにほうじ茶を思いました。香ばしさがあるからなのかな？
丸若さんは、ご飯にあうと思うと言っていて、なるほど、お茶漬けにしたいなーと思いました。
［佐賀県 茎ほうじ茶］
石川県には、加賀棒茶があります。まず、私の経験では、加賀棒茶以上に美味しい棒茶に会ったが未だにありません。
たぶんですが、それは北陸の人のDNAにもう組み込まれていて、「お母さんのカレーが一番美味しい」状態と似ていると思います。
しかし、他の地域の方にとって、加賀棒茶は個性的な棒茶のようです。さて、佐賀県の茎ほうじ茶は、どうでしょうか。
そして、ここからはティーパックで淹れる、と。
GENGENANさんでは、様々な挑戦や研究をされていて、その一つに、ティーパックのお茶を美味しくするということがあるそうです。
トウモロコシの皮を原料とした、大きめのテトラ型ティーパックには、いろんな実験の末に行き着いた細かさの茶葉が入っています。
急須とほとんど遜色ない風味を、扱いやすいティーパックで楽しめるのはとても嬉しいです。
一煎目：標準の湯量・温度で淹れる。 二杯目：一煎目の茶に氷を入れていただく。
雑味のない、穏やかな味だと思いました。もちろん加賀棒茶とは違います。友達の母親が淹れてくれたほうじ茶、ですね。
私は、二杯目の氷を入れて薄まった茶の方が、香りが繊細に感じられ、記憶に残りました。
［佐賀県 紅ほうじ茶］
紅ほうじ茶は、紅茶の茎だけを取り出し、それを焙じるという、手間暇のかかる製法で作るそうです。
今回、私が一番面白いと思ったのはこのお茶で、どんな料理にも合う、懐の深いお茶だと思いました。
Minimalさんのチョコレート（FRUITY ）とのマリアージュを楽しみながらのお茶は、本当に美味しくて、一気にこのお茶のファンに！
お家でも試したくて、このお茶とチョコレートを買って帰りました。
［佐賀県 水出し茶］
「さあ、皆さん、目の前にある水の入ったペットボトルに、この緑茶のティーパックを入れて、30秒振ってください。」
丸若さんの、そんな号令によって、参加者はとりあえず言われた通り、30秒振ります。
「はい、じゃあ、その辺でOK。湯呑みに移して、飲んでみてください。」
また、言われた通りにして、一口。とっても美味しい！ こんな簡単に美味しい水出しが作れるということを経験しました。
私は、夏は、寝る前に水の入ったポットに茶葉を入れて、一晩出していただいていましたが、30秒でできるならすごく楽です。
そして、振ることで、茶の甘みが増すそうです。今年の夏は、この方法で茶を作ろうと思いました。
GENGENANの丸若さんは、たくさんの人に、たくさんお茶を飲んで欲しいと話してくれました。それは私も同感で、お茶を楽しむようになって、暮らしも、人生も、さらに楽しくなりました。美味しいお茶って難しいと思っていましたが、それは全くの思い込みでした。
自分の嗜好にあったお茶を見つけたり、いろんな飲み方のアイデアをためしたりするのは、お茶を知るというようりも、自分の感覚を観察するという行為のような気がします。
GENGENANさんのワークショップは、そんなことに気づかされました。
私も、様々なお茶の楽しみ方に、挑戦したいと思います。
幻幻庵 GENGENAN
東京都渋谷区宇田川町4-8 昭和ビル1F
Minimal（チョコレート）
