先日、打越製茶の技術革新のために、吉田さんが静岡に行くというので、くっついて行ってきました。茶の聖地・静岡! 初めて静岡の茶畑を見るというので、かなり興奮気味でした。
加賀市を朝5時に出発し、車中は約5時間を過ぎたあたりで、吉田さんが「ほら、茶畑が見えてきたよ」と教えてくれました。見えてきたのは、山間のものすごく急なところに作られた茶畑。あんなところに、どうやって畑を作ったのか、どうやって茶を摘むのかと驚きました。
車が着いた先は、静岡で美味しいお茶を作られている豊好園さんのイベント会場。豊好園さんだけなく、静岡の茶園の方々がいくつも出店されていました。
かねぶん農園さんのブースで、手もみ製茶の実演をされていて、私は一番前を陣取って見ていました。実は私...15分ほど揉めばできるのかしらと思っていたんです。はーい、こうやって揉んで、はーいできましたね〜、みたいな感じかなと。
しかし、そうではない。そんなワケがない。実演のために朝準備されたという、蒸してある程度は水分がとんでいる茶を台に広げて、ずーっとずーっと揉んでいくんです。揉み方も幾つか段階があって、茶の様子を見ながら、工程を踏んでいきます。
動画は、揉みきりと言う工程。この工程の時、まだ私は、15分ほどで終わるだろうの無知な段階だったので、茶の様子が変わっていくのを今か今かとジーーーっと見ていました。が、しかし! 全然終わらない。ずっとずっとずーーーっと揉むんです。
「でんぐり」とか、「こくり」とか、いろいろと揉む工程の説明を交えて教えてくださり、それを聞きながら、じーっと茶を見ていました。全然、終わらない、、、。1時間ほど見ていたかと思います。最前列、台から10cmほどのちょっと前のめりなくらいの至近距離で、ジーーーーっと。茶が変化するのを見たくて。
私があまりに凝視しているので、「お客さん、熱心に見てくださるけど、何か取材の方? お茶のお仕事の方?」と手揉みしながら聞かれました。どちらでもないし、どちらでもある。説明つかずに「いえ、ただ面白くて見入ってます。」と答え、あとどのくらいで茶になりますか?と聞くと、「うーん、1時間はかかるよ。」....根負けしました。すごい手間なんだ...と、やっと悟って、「ちょっと他のブース見て、また帰ってきます。」と挨拶し、茶を飲みに行きました。ギブアップです。
1時間くらいしてまた実演会場に戻ってきたら、それでもまだ揉んでました。もうほとんど出来ているよ、とおっしゃって見せてくださったのは、針のように細長くキリリと引き締まった美しいお煎茶でした。ああ、あの葉がやっと茶になってくれたんだなと、なんだかホッとして、本当にお疲れ様なことだと思いました。
もちろん、今ではほとんど機械で製茶しているですが、この手もみ製茶法を絶やすことなく大切にされている保存会もあるそうです。
静岡から帰って、手もみ製茶のことを調べたら、述べ6時間くらいかかるとのこと。あの実演の最初の茶葉も、すでに幾つかの工程を済ませていて、私はフィニッシュのところだけを見たのだな...。
お茶って、本当に大事に味わっていただかなくちゃいけないなぁと、思いました。